情報工学科の授業
本科の5年間に実験系科目と専門基礎科目をバランス良く配置し、工学理論を実際面に生かす能力をもった技術者を育成しています。
実験系科目
情報工学ゼミⅠ(1年)
情報社会の中で、工学や技術の面白さ、役割等について情報工学だけでなく幅広い分野について、情報工学科の教員と少人数のゼミ形式の討論ややさしい実習を行います。テーマは信号処理入門、フィジカルコンピューティング入門、数学のコンピュータ的解法、インターネットのしくみ、Office Online による共同作業入門などです。
工学実験Ⅰ(2年)
前期はマイコン(Raspberry Pi)での各種デバイスとセンサーの使い方を習得し、マイコンシステム設計コンテストを実施します。後期は論理回路の実験を通して情報工学系の小規模な実験の補助を行なえる程度の基本的な態度・技能・知識を身につけます。さらにマイコンを用いた IoT (Internet of Things) 実験を通してセキュリティの重要性を学びます。
工学実験Ⅱ(3年前期)
講義で学んだ回路理論やディジタル回路の知識を実験で確認します。オシロスコープ、ファンクションジェネレータ、ディジタルテスタなどの計測機器を使って回路を設計・実装し、最後にレポートにまとめます。
エンジニアリングデザインⅠ(3年後期)
この科目では、Raspberry Piと各種センサおよびモータなどのアクチュエータを組み合わせて、1年生で学んだPythonによるプログラミングにより、簡単なエージェント(ロボット)の構想、設計、製作、評価、および発表までをグループで行います。実践的なプログラミング能力の育成と共に、主体性を持ちながらグループで協調して作業することの意義や効果を学びます。
エンジニアリングデザインⅡ(4年前期)
この科目では4人程度のグループでウェブアプリケーションの仕様を策定し、設計・開発・運用までをおこないます。仮想化サーバの構築、Java言語とデータベースを用いたウェブアプリケーション開発、git を用いたチーム開発、コンテナを用いたクラウド対応アプリケーションの運用、IoT デバイスとウェブアプリの連携方法を習得します。最後にグループワークでひとつの作品を作り上げます。
情報工学ゼミⅡ(4年後期)
5年生から始まる卒業研究の準備として、そして社会で活躍する技術者になるために、技術者倫理と法令遵守(コンプライアンス)、知的財産権、国際貢献と地域貢献、環境問題と持続可能性、技術史の観点から技術が社会に与える影響について学習します。
卒業研究(5年)
入学時からの一般教育と専門教育を通じて学んだことを応用して、コンピュータのハードウェア・ソフトウェアの開発、エレクトロニクス関連の装置・部品の製作、数理基礎分野の研究などを行い、技術者・研究者としての基礎を学びます。学生個々の選択する分野での研究テ-マについて深く専門の内容を掘り下げ、理解を深め、創造的に研究を進める過程を学び、論文としてまとめる能力を身につけます。
専門基礎科目
プログラミング、ソフトウェア
コンピュータリテラシ(1年)、プログラミングⅠ(1年)、プログラミングⅡ(2年)、アルゴリズムとデータ構造(3年)、オブジェクト指向プログラミング(4年)、システムプログラム(4年)、ソフトウェア設計(4年)、プログラミング言語論(5年)
計算機工学、コンピュータシステム
情報基礎(1年)、情報技術概論(1年)、ディジタル回路Ⅰ(2年)、ディジタル回路Ⅱ(3年)、コンピュータ工学(3年)、コンピュータアーキテクチャ(4年)、コンピュータシステム設計(5年)
電気回路、電気磁気学
回路理論(2年)、過渡現象論(3年)、電気磁気学(4年)
信号処理、ネットワーク
信号解析(4年)、情報ネットワーク(4年)、通信工学(4年)、サイバーセキュリティ(4年)、電磁波工学(5年)、制御工学(5年)
情報数学、情報理論
数理工学演習(1年〜4年)、知能メディア処理(4年)、形式言語論(5年)、離散数学(5年)、統計学(5年)、数値解析(5年)、情報理論(5年)
ディプロマ・ポリシー
ディプロマ・ポリシー(Diploma policy)とは各大学、学部・学科等の教育理念に基づき、どのような力を身に付けた者に卒業を認定し、学位を授与するのかを定める基本的な方針であり、学生の学修成果の目標ともなるものです。高専の本科(5年間の課程)を卒業すると準学士の学位を得ることができます。高専の専攻科(2年間の課程)を修了すると学士の学位を得ることができます(独立行政法人 大学改革支援・学位授与機構の審査を受けます)。
情報工学科(本科)
情報工学科における以下の学科教育目標を実現するため,学生が身につけるべき具体的学習成果の達成が卒業認定の方針とされます。
(1) ものづくり能力
ハードウェア・ソフトウェアに関する知識・技能を総合的に活用することにより,実現可能なコンピュータシステムを構築できる能力を身につける。
(2) 基礎学力
電気回路・ディジタル回路・ソフトウェア開発などの実験・実習を通して,数理基礎をはじめ とした情報工学における個々の基礎理論を深く理解するとともに,総合力を身につける。
(3) 問題解決能力
現実の問題や未知の問題に対して,問題の本質を的確に捉え,コンピュータを活用した問題解 決手法を自ら立案・推進できる能力を身につける。
(4) コミュニケーション能力
実験・実習・研究の結果を,筋道を立てて報告書にまとめ,説得力のある口頭発表を行なう能力を身につける。
(5) 技術者倫理
情報モラルを有し,コンピュータやネットワークが社会に与える影響を考慮できる技術者となる。
情報科学専攻(専攻科)
情報科学専攻における以下の教育目標を実現するため,学生が身につけるべき具体的学習成果の 達成が修了認定の方針とされます。
(1)「ハードウェア」・「ソフトウェア」・「数理基礎」に関する知識の修得
ハードウェア・ソフトウェアの知識及び技能を総合的に活用し,社会に役立つコンピュータシ ステムを構築できる実践的技術者となる。さらに,問題の本質を数理的にとらえ,コンピュー タシステムを活用した問題解決方法を多角的視野から検討できる技術者となる。
(2) 実体験によって培われる実践力の養成
社会の多様なニーズに応えるコンピュータシステムを設計・開発するためのデザイン能力を有 し,コンピュータを用いた適切な解析・処理を提案できる創造的技術者となる。
(3) 世界的視野をもつ良識ある人間性の育成
日本語を使って,説得力のある口頭発表ができ,筋道を立てて報告書を書くことができるとと もに,英語によるコミュニケーション基礎能力を有する技術者となる。また、倫理観をもち, コンピュータやネットワークが社会に与える影響を正しく認識できる技術者となる。